留学経験のない、「ザ・ニホンジン」として外資系企業に飛び込み、長年働いてきた私ですが、現役時代に最後まで苦手だったことがあります。
それは、「英語で会議/会話を進めながら、メモ(議事録)を取ること」です。
チームミーティングで議事録担当になったとき。 面接官として、英語で質問し、回答を評価しながら手元でノートを取るとき。
「英語を聞き取って理解する」「自分の意見を英語で組み立てて話す」という2つだけで脳のキャパシティは限界突破。そこに「手でメモを取る」という作業が加わると、完全に脳内がパンクしていました。
後から自分のノートを見返すと、なぞの単語が並んだ「落書きレベル」で、結局「すんごい集中して会議に出て、終了後に記憶だけを頼りに書き起こす」という超非効率な二度手間で乗り切っていました。
(※退職する頃にはAIツールが進化してシステムで解決できるようになりましたが、手書きや手入力でのメモが必要な場面は依然として存在します)
今回は、私と同じように「英語で聞き、話し、同時にメモを取るなんて無理!」と絶望している方へ、自力の根性論に頼らない実践的なメモ術とハックをご紹介します。
そもそも、なぜ「英語会議のメモ」は不可能なのか?
まずお伝えしたいのは、「あなたの英語力が足りないからではない」ということです。
日本語での会議なら、「聞きながら頭の中で要約し、日本語で書く」という作業が無意識にできます。脳のメモリ(ワーキングメモリー)に余裕があるからです。
しかし英語の場合、脳内では以下の処理が同時に走っています。
- 英語の音を聞き取る
- 意味を日本語/英語で理解する
- 自分の意見を英語で考える
- 発音に気を付けながら話す
- 英語のスペルを思い出しながら手で書く
これらを同時に行えば、脳が処理オーバーを起こすのは当然です。 まずは「完璧な英文でノートを取ろう」という幻想を捨て、脳の負荷を減らす工夫をすることがスタートラインになります。
脳のメモリを解放する!5つの実践メモハック
「文章」を捨て、「記号と略語」で書く
英語をフルセンテンスで書き留めようとすると絶対に間に合いません。自分だけの shorthand(略記法)や記号をルール化しておきましょう。
- 矢印と記号の活用
A -> B(AがBに影響/移行)X vs Y(対立・比較)?(未確認・質問事項)!(決定事項・重要)
- 英単語の母音を省く(速記テク)
- Meeting ➔
mtg - Action Item ➔
Act, AI - Problem ➔
prblm - Schedule ➔
sch - With / Without ➔
w//w/o
- Meeting ➔
「後で他人が読むための美しさ」ではなく、「自分が思い出せる最短の記号」で書くのがコツです。
「英語+日本語」のハイブリッドで書く
「外資系にいるんだから英語でノートを取らなきゃ」というプライドは不要です。自分しか見ないノートなら、一番脳に負荷がかからない言語で混ざり書いてOKです。
- キーワードや固有名詞 ➔ 英語(例:Budget, Q3 launch)
- 自分の直感や補足・メモ ➔ 日本語(例:要確認、相手は渋り気味)
脳の処理速度を最優先にしましょう。
画面共有で「ライブメモ(みんなで書く)」にしてしまう
面接や1対1の打ち合わせ、チーム会議で圧倒的に使える反則級のハックです。
OneNoteやGoogleドキュメントを開き、「認識のズレを防ぐために、メモを画面共有しながら進めますね」と宣言して投影してしまいます。
自分がリアルタイムで書いているメモを相手も見ているため、もし聞き逃しや誤解があっても、相手が*“Oh, actually that’s not A, it’s B.”*と勝手に修正してくれます。メモ取りを「ファシリテーション(進行)」に昇華させる技です。
事前に「ノートの枠」を作っておく(フレームワーク化)
真っ白なノートにゼロから書き始めると迷いが生じます。会議が始まる前に、ノートを物理的に区切って「書き込む箱」を用意しておきます。
【面接(インタビュー)の場合の4分割ノート】
- 左上:強み(Strengths)
- 右上:懸念点(Concerns / Red flags)
- 左下:Q&Aの要点
- 右下:最終評価(Score / Verdict)
【チームミーティングの場合の3Wノート】
- What: 何が決まったか(Decisions)
- Who & When: 誰が・いつまでにやるか(Action Items)
- Park: 今日の議題外・次回に回すこと(Parking Lot)
あらかじめ箱を用意しておけば、聞こえてきた情報を「どの箱に放り込むか」だけに集中できます。
「メモを取るための時間」を会話で稼ぐ
ネイティブはメモを取るために会話を一時中断することを気にしません。手が追いつかない時は、堂々と時間を稼ぐフレーズを使いました。
- 書き留める時間を稼ぐ
- “Let me make a quick note of that.”(ちょっとそれメモらせてください)
- “Just a second, I’m writing this down.”(少々お待ちを、今書いています)
- 相手に要約させてメモする(確認を装う)
- “So, in short, your main point is X, right?”(要するに、言いたいのはXということですね?)
イギリス人元上司に学んだ「書きながら思考を整理する」境地
私の最後の上司だったイギリス人は、ノート取りが超絶巧みな人でした。会話を一切逃さず、しかし情報をスマートに取捨選択して過不足なくログを残す。まさに「書きながら思考を整理する」タイプでした。
当時は「羨ましいな、頭の構造が違うんだろうな」と思っていましたが、今振り返ると、彼は話を聞きながら考えていたのではなく、「会議の構造(ゴール)が最初から頭の中にテンプレートとして入っていた」のだと分かります。
構造が頭にあるから、必要な情報だけをフィルターしてノートに落とし込めていたのです。
まとめ
現代はAIツールが会議の文字起こしや要約を完璧にこなしてくれる時代になりました。
しかし、「会議の最中に自分の頭を整理し、適切な発言をするためのメモ術」は、AI時代であってもビジネスパーソンとしての強力な武器になります。
- 完璧な英文を諦め、記号化する
- 事前にノートのテンプレートを作っておく
- 会話フレーズで時間を稼ぐ・画面共有で巻き込む
英語でのマルチタスクに限界を感じている方は、ぜひ自分の「脳のメモリ」を解放するこれらのハックを試してみてください!

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